2020年本屋大賞:傷つきながらも光を探す、心に深く刺さる10冊

2020年の本屋大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』が大賞を受賞しました。

この年のノミネート作品全体を見渡して感じるのは、「割り切れない現実の中で、傷つきながらもかすかな光や救いを探し求める物語」の力強さです。のちの2024年の爆発的なエネルギーや、2026年のシニカルな現代性とは異なり、2020年は人間の内面の痛み、生と死、そして人と人との心の繋がりを静かに、かつ深く抉り出すような名作が揃っていました。

同時に、驚愕の仕掛けで読者を圧倒する傑作ミステリーも並び、純粋に物語に没頭する喜びを教えてくれる年でもあります。

全国の書店員さんが熱い想いで選んだ10作品の魅力を、ネタバレなしでご紹介します。

2020年 本屋大賞ノミネート作品(五十音順)

1. 『線は、僕を描く』 砥上裕將(講談社) ★3位

深い喪失感の中にいた大学生の青年が、水墨画の世界と出会い、その奥深さに魅了されていく青春小説。白と黒だけで表現される世界の躍動感が素晴らしく、傷ついた心が少しずつ再生していく過程が瑞々しく、美しく描かれています。

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2. 『夏物語』 川上未映子(文藝春秋) ★7位

「自分の子どもに会いたいか」という問いを軸に、女性の身体、出産、家族のあり方を圧倒的な解像度で描いた長編小説。現代を生きる女性たちのリアルな息遣いと葛藤が、鋭くも愛おしい筆致で迫ってきます。

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3. 『熱源』 川越宗一(文藝春秋) ★5位

直木賞も受賞した、アイヌの男性とポーランド人の民族学者の激動の半生を描いた歴史大作。国家や時代の波に翻弄されながらも、自らの文化やアイデンティティという「熱源」を守り抜こうとした人々の生き様が、胸を熱くさせます。

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4. 『ノースライト』 横山秀夫(新潮社) ★4位

建築士の主人公が、自ら設計した美しい家と、そこに暮らすはずだった家族の失踪を巡る謎を追うミステリー。単なる謎解きにとどまらず、家族の再生や、誇りを持って生きることの意味を重厚に描き出した大人の人間ドラマです。

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5. 『店長がバカすぎて』 早見和真(角川春樹事務所) ★10位

書店を舞台に、理不尽な店長に振り回される書店員の本音と奮闘を描いたお仕事小説。本を愛する人々の情熱と業界の現実を、軽快なユーモアと温かなまなざしで描いています。

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6. 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼(講談社) ★6位

霊媒師の少女と推理作家がバディを組み、数々の難事件に挑むミステリー。かわいらしいキャラクター小説かと思いきや、最終章で待ち受ける驚愕の仕掛けに、すべての読者が騙される。ミステリー史に残る最高峰のエンターテインメントです。

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7. 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』 青柳碧人(双葉社) ★9位

「桃太郎」や「鶴の恩返し」といった誰もが知る日本の昔話の世界を、本格的なミステリーとして再構築した連作短編集。昔話のプロットを崩さず、緻密なロジックと意外などんでん返しを詰め込んだ、遊び心満載の一冊です。

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8. 『ムゲンのi』 知念実希人(双葉社) ★8位

眠り病に侵された患者たちを救うため、若き女性医師が患者の精神世界(夢の中)へとダイブする医療ファンタジーミステリー。知念さんらしい圧倒的な推進力と、緻密に張られた伏線が綺麗に回収される爽快感が味わえます。

9. 『ライオンのおやつ』 小川糸(ポプラ社) ★2位

余命を告げられた若い女性が、瀬戸内の島にあるホスピスで残された日々を過ごす物語。毎週日曜日、入居者がもう一度食べたい思い出のおやつが用意される。生と死という重いテーマを、どこまでも優しく温かい光で包み込んだ名作です。

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10. 『流浪の月』 凪良ゆう(東京創元社) ★大賞受賞

誘拐犯と被害女児というレッテルを貼られた二人の、15年後の再会を描いた人間ドラマ。世間が語る「正しさ」や偏見の影で、当事者にしか分からない切実な絆と救いを圧倒的な筆致で描き切っています。文句なしの大賞受賞作。

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いまの気分で選ぶ、4つの入り口

  • 魂を激しく揺さぶる、濃密な愛と絆のドラマを読みたい → 『流浪の月』『夏物語』『店長がバカすぎて』
  • 息をもつかせぬ展開、驚愕の仕掛けに騙されたい → 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
  • 傷ついた心を優しく癒やし、再生の力を信じたい → 『ライオンのおやつ』『線は、僕を描く』
  • 重厚な人間ドラマ、壮大な歴史や謎に浸りたい → 『ノースライト』『熱源』『ムゲンのi』

最後に

2020年の本屋大賞作品は、どれも読む人の心に深く根を張り、生きる勇気や新しい視点をくれる強い力を持っています。電子書籍を使えば、ベッドの中に潜り込んだまま、数秒後にはこの物語の世界へ飛び込める時代。今夜、スマホの中に新しい世界の入り口を作ってみませんか。

「あの年の本屋大賞作品をのんびり眺めてみたい」「次の一冊を直感で選びたい」と思ったときは、名作だけをシンプルに並べた【そらのしたの図書室】をふらりと覗いてみてください。あなたの今の気分にぴったりな一冊が、きっと静かに待っています。

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