2023年本屋大賞:ページをめくる手が止まらない。仕掛けと熱量。

2023年本屋大賞 2023年本屋大賞

2023年の本屋大賞は、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』でした。凪良さんは2020年の『流浪の月』に続いて2回目の大賞です。

この年のノミネート作は、ミステリの強さが目立ちました。取調室で爆破を予告する男との心理戦『爆弾』、地下施設に閉じ込められた人たちの『方舟』、問題が読まれる前に正解したクイズの謎を追う『君のクイズ』。一方で、青山美智子さんや町田そのこさんの、読後に温かさが残る作品も並んでいます。

10作を五十音順に、ネタバレなしで紹介します。書影とあらすじの一覧は本屋大賞ガイドの2023年ページにあります。

2023年 本屋大賞ノミネート作品(五十音順)

1. 『川のほとりに立つ者は』寺地はるな(双葉社) ★9位

パフェ店の店長・清瀬のもとに、恋人が事故で意識不明になったと知らせが入ります。彼の部屋で見つけた隠されたノートから、知らなかった顔が少しずつ見えてくる。人を「分かったつもり」になることの怖さを、寺地はるなさんが静かに書いています。9位でした。

『川のほとりに立つ者は』の表紙

川のほとりに立つ者は

寺地はるな

2. 『君のクイズ』小川哲(朝日新聞出版) ★6位

生放送のクイズ番組の決勝で、対戦相手は問題文が1文字も読まれないうちに正解した。なぜそんなことができたのかを、負けた側が1問ずつ振り返っていきます。短い長編なので一気に読めて、クイズの世界の奥深さにも驚かされます。6位。

3. 『月の立つ林で』青山美智子(ポプラ社) ★5位

元看護師、売れない芸人、バイク整備士、女子高生、アクセサリー作家。立場も年齢も違う5人が、月の話をするポッドキャストを聴いている、という共通点でゆるやかにつながる連作です。ひとつの話で脇役だった人が、次の話で主役になる。その重なり方が楽しい一冊で、5位でした。

『月の立つ林で』の表紙

月の立つ林で

青山美智子

4. 『汝、星のごとく』凪良ゆう(講談社) ★大賞受賞

大賞作です。瀬戸内の島で出会った高校生の暁海と櫂が、家族の問題を抱えながら、十数年にわたって惹かれ合い、すれ違っていく話です。「ずっとつらかった。でも読んでよかった」という感想が本当に多い作品。続編の短編集『星を編む』は2024年に8位でした。

▶ 『汝、星のごとく』は、読んだ人の受け止め方やAudible版のナレーターの経歴を本屋大賞ガイドの作品ページにまとめています。

『汝、星のごとく』の表紙

汝、星のごとく

凪良ゆう

5. 『#真相をお話しします』結城真一郎(新潮社) ★10位

子どもが4人しかいない離島でYouTuberを目指す少年たちの話など、いまの時代ならではの題材を扱った5つの短編ミステリです。どの話も最後の数ページでひっくり返されます。短編なので、すきま時間に1話ずつ読めます。10位。

『#真相をお話しします』の表紙

#真相をお話しします

結城真一郎

6. 『爆弾』呉勝浩(講談社) ★4位

酒屋で店主を殴って連行された冴えない男が、取調室で「このあと秋葉原で爆発が起きる」と言い出す。のらりくらりとした男と刑事たちの会話だけで、最後まで緊張が続きます。ミステリ好きの評価がとても高い作品で、4位でした。

7. 『方舟』夕木春央(講談社) ★7位

山奥の地下建築を見に行った若者たちと、たまたま居合わせた家族。地震で出口がふさがれ、誰か1人が犠牲にならないと外に出られなくなります。そんな中で殺人が起きる、という本格ミステリです。結末について語る人が多い作品で、7位でした。

8. 『光のとこにいてね』一穂ミチ(文藝春秋) ★3位

育った家庭がまるで違う2人の女の子が、7歳、15歳、29歳と、出会いと別れを繰り返す話です。小学生・高校生・大人の3つの時期で2人の距離がどう変わるかを、一穂ミチさんが丁寧に追っています。3位でした。

『光のとこにいてね』の表紙

光のとこにいてね

一穂ミチ

9. 『宙(そら)ごはん』町田そのこ(ポプラ社) ★8位

育ての母と、自由奔放な生みの母。2人の母を持つ少女・宙の、保育園から高校3年生までの成長を描く物語です。料理が得意な男性・佐伯が作るごはんが、宙の支えになっていきます。町田そのこさんらしく、つらい場面もきちんと書かれています。8位。

10. 『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒(集英社) ★2位

音楽の著作権を管理する団体の職員が、大手音楽教室の実態を探るため、生徒としてチェロ教室に潜入します。先生や仲間との時間が大切になるほど、嘘をついている自分が苦しくなっていく。お仕事小説でありながら、スパイ小説のような緊張感もある作品で、2位でした。

『ラブカは静かに弓を持つ』の表紙

ラブカは静かに弓を持つ

安壇美緒

いまの気分で選ぶ、4つの入り口

最後に

大賞の『汝、星のごとく』はAudible版もあり、12時間ほどで聴けます(2026年9月時点)。ミステリは伏線を読み返したくなることも多いので、紙の本かKindleで読むのも向いています。

ほかの年の受賞作やノミネート作は、本屋大賞ガイドにまとめています。

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ほかの年の本屋大賞

2004年からの大賞受賞作は本屋大賞の歴代受賞作まとめに一覧にしています。このブログで1年ずつ紹介している年は次のとおりです。

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