2022年本屋大賞:世界のグラデーションに気づく10冊。

2022年本屋大賞 2022年本屋大賞

2022年の本屋大賞は、逢坂冬馬さんのデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』でした。独ソ戦で狙撃兵になったソ連の少女の話で、アガサ・クリスティー賞を受けたデビュー作が、そのまま本屋大賞も取った形です。

この年は、戦争や歴史を正面から書いた作品が上位にありつつ、就職活動のミステリや、ガラスの塔が舞台の本格ミステリのように、読みやすさで勝負する作品も入っていました。どれも一冊ごとの色がはっきりしていて、好みで選びやすい年です。

この記事は、10作を順位の順に紹介しています。書影とあらすじの一覧は本屋大賞ガイドの2022年ページにあります。

2022年 本屋大賞 最終順位

1. 『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬(早川書房) ★大賞

独ソ戦のさなか、村を焼かれた少女セラフィマが、女性だけの狙撃兵の部隊で戦うことになる話です。「戦争ものだと思って身構えていたのに、読み始めたら止まらなかった」という感想をよく見かけます。重い題材ですが、物語としての面白さで最後まで引っぱられる一冊です。

▶ 『同志少女よ、敵を撃て』は、読んだ人の受け止め方やAudible版のナレーターの経歴を本屋大賞ガイドの作品ページにまとめています。

『同志少女よ、敵を撃て』の表紙

同志少女よ、敵を撃て

逢坂冬馬

2. 『赤と青とエスキース』 青山美智子(PHP研究所) ★2位

オーストラリアに留学していた大学生の、期限つきの恋から始まる連作です。一枚の絵(エスキース)が、時間も場所も越えて人から人へ渡っていきます。最後の話まで読むと、全体の見え方が変わる仕掛けがあります。2位でした。

『赤と青とエスキース』の表紙

赤と青とエスキース

青山美智子

3. 『スモールワールズ』 一穂ミチ(講談社) ★3位

6つの話を収めた短編集です。表紙の雰囲気から温かい話を想像すると、いい意味で裏切られます。家族や夫婦のすぐそばにある、ちょっとしたゆがみを切り取った話が多く、一穂ミチさんの名前を広く知らしめた作品です。3位。

『スモールワールズ』の表紙

スモールワールズ

一穂ミチ

4. 『正欲』 朝井リョウ(新潮社) ★4位

検事の男性、契約社員の女性、大学生の女性。別々の場所に暮らす3人の視点で進み、やがて人に言えない欲望を抱えた人たちの姿が見えてきます。読み終えたあと、誰かと話したくなるタイプの小説です。4位でした。

5. 『六人の嘘つきな大学生』 浅倉秋成(KADOKAWA) ★5位

IT企業の最終選考に残った6人の就活生。全員で内定を取れるはずが、直前に「内定は1人だけ」と告げられ、議論の場で互いの秘密を暴く告発文が見つかります。何度もひっくり返る展開で、一気読みしたという人が多い作品です。5位。

『六人の嘘つきな大学生』の表紙

六人の嘘つきな大学生

浅倉秋成

6. 『夜が明ける』 西加奈子(新潮社) ★6位

高校で出会った「俺」と、大きな体に傷を持つ同級生・アキ。二人が大人になり、貧しさや過酷な働き方の中で追いつめられていく姿を描く長編です。読んでいてつらい場面が続きますが、そのぶん最後の光が強く残ります。6位でした。

7. 『残月記』 小田雅久仁(双葉社) ★7位

月をモチーフにした3つの話を収めた作品集です。表題作は、月の病が広がった近未来の日本で、感染した男が剣闘士として戦わされる話。ほかの2編も奇妙で暗く、それでいて美しい。好きな人にはたまらない一冊で、7位でした。

8. 『硝子の塔の殺人』 知念実希人(実業之日本社) ★8位

山奥に建つガラスの塔に、探偵、医師、刑事、霊能力者などが集められ、次々と事件が起きる本格ミステリです。昔の名作ミステリへの目くばせが多く、ミステリ好きほど楽しめます。8位。

『硝子の塔の殺人』の表紙

硝子の塔の殺人

知念実希人

9. 『黒牢城』 米澤穂信(KADOKAWA) ★9位

織田信長に背いて有岡城に立てこもった荒木村重が、城の中で起きる不可解な事件を、牢に閉じ込めた黒田官兵衛に相談しながら解いていく歴史ミステリです。同じ年の直木賞も受けています。9位でした。

10. 『星を掬う』 町田そのこ(中央公論新社) ★10位

幼いころ母に置いていかれた千鶴は、元夫の暴力から逃げ、パン工場で働いてひとりで暮らしています。ある出来事をきっかけに、ずっと会っていなかった母と、母が暮らす家の人たちと同居することになる。町田そのこさんの、母と娘の話です。10位。

いまの気分で選ぶ、4つの入り口

  • 圧倒的な熱量とスケールに、時間を忘れて没頭したい → 『同志少女よ、敵を撃て』『黒牢城』『正欲』
  • 二転三転するロジック、物語としての快感を味わいたい → 『六人の嘘つきな大学生』『硝子の塔の殺人』『黒牢城』
  • 傷ついた心に寄り添う、静かな再生の物語に触れたい → 『赤と青とエスキース』『スモールワールズ』『残月記』
  • 重厚な人間ドラマ、生きていく強さを手に入れたい → 『星を掬う』『夜が明ける』『正欲』

最後に

大賞の『同志少女よ、敵を撃て』はAudible版もあり、15時間半ほどで聴けます(2026年9月時点)。長い作品なので、通勤や散歩の時間に少しずつ聴く読み方も向いています。

ほかの年の受賞作やノミネート作は、本屋大賞ガイドにまとめています。

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2004年からの大賞受賞作は本屋大賞の歴代受賞作まとめに一覧にしています。このブログで1年ずつ紹介している年は次のとおりです。

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