2016年にこのブログでおすすめのライトノベル11選を書きました。当時は『本好きの下剋上』や『Re:ゼロ』が出たばかりで、Web小説から本になる作品が増えはじめたころです。10年たって、ラノベの棚の顔ぶれはかなり入れ替わりました。
この記事は、しばらくラノベから離れていた人や、これから読んでみたい人に向けた「いまのラノベ」の案内です。選ぶにあたっては、ラノベを紹介しているYouTubeのチャンネルをいくつも見て、何度も名前が挙がる作品を拾いました。あわせて、毎年の人気投票『このライトノベルがすごい!2026』(宝島社)の結果も参考にしています。
ラノベをはじめて読む人に向けた紹介で、とくによく名前が出ていたのは『誰が勇者を殺したか』でした。迷ったら、まずこの1冊からどうぞ。
まずは1冊で読み終われるものから
長いシリーズは、最初の一歩が重く感じます。はじめてなら、1冊で話がまとまるものから入るのがおすすめです。
誰が勇者を殺したか
勇者が魔王を倒し、その帰り道で命を落とした4年後の世界が舞台です。勇者の記録をまとめる役目の人が、旅の仲間に一人ずつ話を聞いていきます。なぜ勇者は死んだのか、という謎を追う形のファンタジーです。
ふだんミステリーを紹介しているチャンネルの人が「読んだ中でいちばん面白かった」と話していました。戦いの場面はほとんどなく、会話で進むので読みやすいそうです。ラノベに苦手意識がある人にこそ読んでほしい、と言う人もいました。前半はゆっくりで、後半から一気に進むという感想も見かけました。2023年の刊行で、いまは続編も出ています。
少女星間漂流記
住めなくなった地球をあとにした2人の少女が、移り住める星を探して宇宙を旅する話です。1つの星の話が30ページほどで終わる連作短編なので、通勤や通学のすきまに少しずつ読めます。
星ごとに決まりや文化がまるで違い、笑える話もあれば、あとに苦さが残る話もあります。『キノの旅』に近い、という感想がいくつかのチャンネルで出ていました。小学生くらいから楽しめそう、と話していた人もいます。
いま話題の新作
『このライトノベルがすごい!2026』は、前の年の秋からの1年間に出た作品を対象にした人気投票です。上位に入った新作から3つ紹介します。
あそびのかんけい
ボードゲームカフェを舞台にしたラブコメです。『このライトノベルがすごい!2026』では文庫部門の1位になり、新作の部門なども合わせて三冠を取りました。作者は『生徒会の一存』『ゲーマーズ!』の葵せきなさんです。
登場人物がそれぞれ主人公への気持ちを隠していて、少しずつ話がすれ違っていきます。その組み立てが見事で、ミステリーを読んでいるようだった、という紹介がありました。会話のテンポがよく、ラノベがはじめての人にもすすめやすいそうです。2026年8月に4巻が出ています。
転生程度で胸の穴は埋まらない
前の人生の出来事から人を信じられず、生まれ変わってもひとりで生きてきた主人公が、重い病を抱えた少女と出会う話です。カクヨムで書かれた作品で、『このライトノベルがすごい!2026』では新作の文庫部門で2位に入りました。
紹介していた人たちは、異世界転生というより「愛の物語」として話していました。ヒロインの心の美しさを挙げる人が多い作品です。
汝、暗君を愛せよ
現代の日本人の心が、ある国の若い王に乗り移ってしまう話です。特別な力はなく、主人公は国を回すために必死に働きます。本人は自分を臆病な暗君だと思っているのに、まわりからは名君に見えている。そのずれが面白さの中心です。単行本で、『このライトノベルがすごい!2026』では新作の単行本部門で1位でした。
一方で、その国の歴史を語る部分の文章が長いので、細かい設定を読むのが好きでないと進みにくい、とも紹介されていました。派手さより人間ドラマをじっくり読みたい人向けです。
アニメで知った作品を、原作で読む
いまのラノベは、アニメから入る人がいちばん多いと思います。どの紹介でも、アニメを見たあとに原作を読むと、登場人物の心の中までくわしく書かれている、という話が出ていました。ここからは長いシリーズです。どれも1巻から順に読むものなので、まず1巻で合うかどうかを確かめてみてください。
ようこそ実力至上主義の教室へ
生徒をクラスごとに競わせる特殊な高校で、上のクラスを目指して知恵比べをする学園ものです。何を考えているのかわからない主人公・綾小路の動きを追うのがいちばんの面白さで、読者どうしの考察がとても盛んです。初心者向けの紹介で名前が出る回数がいちばん多く、読者投票で1位になっていたチャンネルもありました。2年生編が完結し、いまは3年生編が続いています。
負けヒロインが多すぎる!
出てくるヒロインがみな、主人公以外の誰かに恋をして振られてしまう、という少し変わったラブコメです。掛け合いがテンポよく、笑える場面と切ない場面の配分がちょうどいい、と話していました。アニメで知った人も、原作の心の動きの細かさはまた別の楽しみがあるそうです。『このライトノベルがすごい!2026』でも文庫部門の3位でした。
薬屋のひとりごと
後宮で下働きをする薬師の少女・猫猫が、薬の知識で宮中の事件を解いていく話です。アニメの人気が大きいシリーズですが、『このライトノベルがすごい!2026』の文庫部門にも9位で入りました。アニメを見て原作に来た人が多いのだろう、と話していた人もいます。女性の読者が多いのも、この一覧ではめずらしい点です。
転生したらスライムだった件
現代日本の会社員がスライムに生まれ変わり、仲間を集めて国を作っていく異世界転生ものです。強くなっていく爽快さに国づくりの話が加わって、どんどん話が広がっていきます。異世界転生の面白いところが一通り入っている、という紹介もありました。ラノベの中でもいちばん売れているシリーズの一つで、アニメや漫画から入った人も多いと思います。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
駆け出しの冒険者ベルが、ダンジョンで仲間と危機を乗り越えながら少しずつ強くなっていく、まっすぐなファンタジーです。少年漫画のような王道が好きな人向けで、アニメでは味わいきれない文章の熱さを挙げる人が多いシリーズです。20巻を超えていますが、2025年に最終章に入ったと紹介されていたので、いまから追いかけるのもよい時期です。
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
思春期の悩みがそのまま不思議な現象になって現れる「思春期症候群」に、主人公が一つずつ向き合っていく青春ものです。ヒロインを救う話であると同時に、主人公自身も救われていく。そこに泣かされた、という感想をよく見かけました。2024年に完結したと紹介されていたので、終わりまで読み通せるのもうれしいところです。
長く読まれてきた名作
新しい作品ばかりでなく、20年以上読まれ続けている作品にも触れておきます。
キノの旅
旅人のキノと、言葉を話す二輪車のエルメスが、いろいろな国を一つずつ訪ねていく連作短編です。国ごとに少し変わった決まりがあり、笑える話も、考えこんでしまう話もあります。上で紹介した『少女星間漂流記』のような旅の物語の元祖として、何人もの人が名前を挙げていました。
ブギーポップは笑わない
1998年に出た作品です。ラノベ編集者の三木一馬さんが、はじめてのラノベとして挙げていました。学校のまわりで起きる事件と、都市伝説の死神「ブギーポップ」をめぐる話で、同じ出来事を何人もの視点から少しずつ見せていく作りです。三木さんは、こんなにかっこいい小説があるのかと思った、と話していました。
『無職転生』『この素晴らしい世界に祝福を!』『Re:ゼロから始める異世界生活』『灰と幻想のグリムガル』なども、いまでも名前がよく挙がります。このあたりは2016年の記事で紹介しているので、そちらもあわせてどうぞ。
合わなかったら、無理に読み進めなくていい
2016年の記事にも書いたのですが、いろいろ読んでいると、1巻を読み終わる前に「これは合わないな」と思う作品が結構あります。笑いの好みや、登場人物の掛け合いのノリが合うかどうかで、面白さがかなり変わるジャンルだと思います。
なので、まずは試し読みをおすすめします。Kindle版なら、たいていの作品で冒頭を無料のサンプルとして読めます。1冊目で合わないと感じたら、別の作品に移っていいと思います。長いシリーズは巻数が多いぶん、合う作品に出会えたときの楽しみも長く続きます。
参考にした紹介
作品選びでいちばん参考にしたのは、ラノベ紹介のチャンネル「ゆきとも【ラノベ紹介の人】」です。初心者におすすめのラノベ10選(2025年)や2025年の新作ベスト10(2026年)などを見ました。ふだんミステリーを紹介している「マサキ/Masaki Books」のはじめての人向けのおすすめ4選(2024年)でも、『誰が勇者を殺したか』と『少女星間漂流記』が紹介されています。
『このライトノベルがすごい!2026』の結果は、「ぽいか」の解説動画(2025年)とBOOK☆WALKERのまとめで確かめました。三木一馬さんの話は、コルクマンガチャンネルのラノベ編集者の回(2021年)からです。このほか、読者の投票で初心者向けの作品を選んだ「ライトノベルシティ!」の動画なども見てまとめました。
気になった作品があれば、まずは試し読みから始めてみてください。


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