2024年本屋大賞:前を向くエネルギーをくれる10冊。

2024年本屋大賞

2024年の本屋大賞は、宮島未奈さんのデビュー作『成瀬は天下を取りにいく』でした。閉店する西武大津店に毎日通い、「200歳まで生きる」と言い切る女子高生・成瀬あかりの話です。

この年は、成瀬のように明るく読める作品と、誘拐事件や貧困を正面から書いた重い作品が、はっきり分かれていました。児童書として初めてノミネートされた『放課後ミステリクラブ』や、分厚いファンタジー『レーエンデ国物語』も入っていて、並びの幅が広い年です。

10作を五十音順に、ネタバレなしで紹介します。書影とあらすじの一覧は本屋大賞ガイドの2024年ページにあります。

順位の一覧

順位作品著者
大賞成瀬は天下を取りにいく宮島未奈
2位水車小屋のネネ津村記久子
3位存在のすべてを塩田武士
4位スピノザの診察室夏川草介
5位レーエンデ国物語多崎礼
6位黄色い家川上未映子
7位リカバリー・カバヒコ青山美智子
8位星を編む凪良ゆう
9位放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件知念実希人
10位君が手にするはずだった黄金について小川哲

同じ年の発掘部門では、書店員が過去の本から推す「超発掘本!」に井上夢人『プラスティック』が選ばれています。

2024年 本屋大賞ノミネート作品(五十音順)

1. 『黄色い家』 川上未映子(中央公論新社) ★6位

17歳で家を出た花が、20歳ほど年上の黄美子と暮らし始め、仲間と「黄色い家」で共同生活を送るようになる。生きていくためにカード犯罪に手を染めていく過程を、川上未映子さんが容赦なく書いています。重いけれど、読み始めると止まらない一冊。6位でした。

『黄色い家』の表紙

黄色い家

川上未映子

2. 『君が手にするはずだった黄金について』 小川哲(新潮社) ★10位

主人公は「小川さん」という小説家。怪しげな占い師や、偽物のロレックスを巻く人物など、どこか嘘をまとった人たちと出会っていく連作短編集です。才能とは何か、本物と偽物の違いは何か、を軽い語り口で考えさせられます。直木賞作家・小川哲さんの作品で、10位。

『君が手にするはずだった黄金について』の表紙

君が手にするはずだった黄金について

小川哲

3. 『水車小屋のネネ』 津村記久子(毎日新聞出版) ★2位

母の再婚相手から逃れるように家を出た18歳と8歳の姉妹が、山あいの町の蕎麦屋で働き始めます。店の水車小屋には、しゃべる鳥のヨウム「ネネ」がいました。そこから40年、姉妹と町の人たちの暮らしを追う長い物語で、2位でした。「誰かに親切にしなきゃ、人生は長くて退屈なものですよ」という言葉が作中に出てきます。

『水車小屋のネネ』の表紙

水車小屋のネネ

津村記久子

4. 『スピノザの診察室』 夏川草介(水鈴社) ★4位

京都の地域病院で働く内科医・雄町哲郎、通称マチ先生の話です。大学病院で腕を振るっていた人が、妹を亡くし、残された甥と暮らすために町の病院へ移った。治らない患者と向き合う日々が、静かな文章で書かれています。4位。続編『エピクロスの処方箋』は2026年に4位でした。

『スピノザの診察室』の表紙

スピノザの診察室

夏川草介

5. 『存在のすべてを』 塩田武士(朝日新聞出版) ★3位

平成3年、同じ日に起きた2件の幼児誘拐事件。そのうち1件で行方が分からなくなった子が、4年後に突然戻ってきます。空白の4年間に何があったのかを、30年後に新聞記者が追いかける話です。事件ものでありながら、絵画をめぐる人間ドラマでもあります。3位でした。

『存在のすべてを』の表紙

存在のすべてを

塩田武士

6. 『成瀬は天下を取りにいく』 宮島未奈(新潮社) ★大賞受賞

大賞作です。西武大津店の閉店を見届けると決め、テレビ中継に毎日映りこむ。M-1に出る。周りにどう思われても気にしない成瀬の行動が、読んでいて痛快です。短くて読みやすいので、ふだん本を読まない人にも勧めやすい一冊。続編『成瀬は信じた道をいく』は2025年に10位でした。

▶ 『成瀬は天下を取りにいく』は、読んだ人の受け止め方やAudible版のナレーターの経歴を本屋大賞ガイドの作品ページにまとめています。

『成瀬は天下を取りにいく』の表紙

成瀬は天下を取りにいく

宮島未奈

7. 『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』 知念実希人(ライツ社) ★9位

プールに大量の金魚が泳いでいる――そんな学校の謎に、小学4年生の3人組が挑む児童書ミステリです。本屋大賞で児童書がノミネートされたのは初めてでした。大人が読んでもきちんと謎解きになっていて、親子で同じ本を読むきっかけにもなります。9位。

『放課後ミステリクラブ』の表紙

放課後ミステリクラブ

知念実希人

8. 『星を編む』 凪良ゆう(講談社) ★8位

2023年の大賞『汝、星のごとく』の続編にあたる短編集です。前作では書ききれなかった、周りの人たちのその後や、あの物語の裏側が3つの話で描かれます。前作を読んでから手に取ってください。8位でした。

9. 『リカバリー・カバヒコ』 青山美智子(光文社) ★7位

公園に置かれた、塗装のはげたカバの遊具「カバヒコ」。自分の悪いところと同じ場所を触ると回復する、という噂があります。その噂にすがる人たちを一人ずつ描いた連作で、青山美智子さんらしい、読んだあと少し気持ちが軽くなる本です。7位。

『リカバリー・カバヒコ』の表紙

リカバリー・カバヒコ

青山美智子

10. 『レーエンデ国物語』 多崎礼(講談社) ★5位

呪われた地レーエンデを訪れた騎士団長の娘ユリアと、地元で孤立している射手トリスタンの出会いから始まる、長い歴史ファンタジーの第1部です。国の成り立ちから描く本格的な作品で、じっくり物語に浸りたいときに向いています。5位でした。

『レーエンデ国物語』の表紙

レーエンデ国物語

多崎礼

どれから読むか

上の紹介をもとに、読み口で4つに分けました。

Audibleで聴くなら

2024年の10作のうち、少なくとも9作はAudible版が出ています(2026年9月時点)。大賞の『成瀬は天下を取りにいく』は1章ずつ話が完結するので、耳で聴くのを試す1冊目にも向いています。

ほかの年の受賞作やノミネート作は、本屋大賞ガイドにまとめています。

本屋大賞ガイド|全受賞・ノミネート作品一覧
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ほかの年の本屋大賞

2004年からの大賞受賞作は本屋大賞の歴代受賞作まとめに一覧にしています。このブログで1年ずつ紹介している年は次のとおりです。

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