2020年本屋大賞:傷つきながらも光を探す、心に深く響く10冊

2020年本屋大賞 2020年本屋大賞

2020年の本屋大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』でした。かつて「誘拐犯」と「被害女児」と呼ばれた二人が、15年後に再会する話です。凪良さんは2023年にも『汝、星のごとく』で大賞を受けています。

この年のノミネート作は、ホスピスで過ごす最後の日々を描いた『ライオンのおやつ』や、水墨画に出会って立ち直っていく大学生の『線は、僕を描く』など、静かに心に残る作品が上位に並びました。一方で、昔話を本格ミステリにした短編集や、書店が舞台の笑える小説もあって、息抜きになる作品もあります。

10作を五十音順に、ネタバレなしで紹介します。書影とあらすじの一覧は本屋大賞ガイドの2020年ページにあります。

2020年 本屋大賞ノミネート作品(五十音順)

1. 『線は、僕を描く』 砥上裕將(講談社) ★3位

両親を事故で亡くし、何をしても手ごたえのない日々を送っていた大学生が、アルバイト先の展示会で水墨画の巨匠に声をかけられ、弟子になります。墨と筆だけの世界に、少しずつ自分を取り戻していく話です。水墨画を知らなくても、描く場面の描写に引き込まれます。3位でした。

『線は、僕を描く』の表紙

線は、僕を描く

砥上裕將

2. 『夏物語』 川上未映子(文藝春秋) ★7位

大阪出身の夏子と、姉の巻子。関西弁の軽いやりとりに笑わされる前半から、後半は「子どもを持つとはどういうことか」という問いに、夏子自身が向き合っていきます。川上未映子さんの長編で、読みごたえがあります。7位。

3. 『熱源』 川越宗一(文藝春秋) ★5位

日本とロシアのあいだで揺れた樺太を舞台に、故郷を奪われたアイヌの男と、ロシアに祖国を奪われたポーランド人を描く歴史小説です。直木賞も受けた作品で、アイヌの人々の生き方を知る入り口にもなります。5位でした。

4. 『ノースライト』 横山秀夫(新潮社) ★4位

建築士の青瀬が設計し、業界でも高く評価された家。ところが依頼主の一家は、住んだ形跡もないまま姿を消していました。残されていたのは一脚の椅子だけ。横山秀夫さんの、謎を追ううちに家族の話へ行き着くミステリです。4位。

『ノースライト』の表紙

ノースライト

横山秀夫

5. 『店長がバカすぎて』 早見和真(角川春樹事務所) ★10位

書店の契約社員・京子の悩みの種は、空回りばかりの店長。ほかにも困った人たちに振り回されながら、それでも本を売る仕事が好きだと思える瞬間がある。書店員さんが選ぶ賞らしいノミネート作で、笑いながら読めます。9位でした。

『店長がバカすぎて』の表紙

店長がバカすぎて

早見和真

6. 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼(講談社) ★6位

死者の言葉を伝えられる霊媒・城塚翡翠と、推理作家の香月がコンビを組んで事件を解いていきます。ただ、霊視には証拠能力がない。そこで香月が論理で筋道を立てる、という形の本格ミステリです。最後の章は、ミステリ好きの間で語り草になっています。6位。

『medium霊媒探偵城塚翡翠』の表紙

medium霊媒探偵城塚翡翠

相沢沙呼

7. 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』 青柳碧人(双葉社) ★9位

「一寸法師」「花咲かじいさん」「鶴の恩返し」など、誰もが知っている昔話を、密室殺人やアリバイ崩しの本格ミステリにした短編集です。知っている話がどう変わるかを楽しめて、1話ずつ気軽に読めます。10位でした。

『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の表紙

むかしむかしあるところに、死体がありました。

青柳碧人

8. 『ムゲンのi』 知念実希人(双葉社) ★8位

目覚めない謎の病気の患者を3人抱えた若い女性医師が、患者の夢の世界に入り込んで原因を探っていく医療ファンタジーです。現役の医師でもある知念実希人さんの作品で、8位でした。

9. 『ライオンのおやつ』 小川糸(ポプラ社) ★2位

余命を告げられた33歳の雫が、瀬戸内の島のホスピス「ライオンの家」で最後の日々を過ごします。毎週日曜日には、入居者がリクエストした思い出のおやつが出される。つらい話のはずなのに、読み終えると温かさが残る、という感想が多い作品です。2位。

『ライオンのおやつ』の表紙

ライオンのおやつ

小川糸

10. 『流浪の月』 凪良ゆう(東京創元社) ★大賞受賞

大賞作です。9歳のときに19歳の大学生・文の家で暮らした更紗は、世間から「誘拐事件の被害女児」と呼ばれ続けます。15年後、二人は再会する。周りの思う「かわいそう」と本人の気持ちのずれを描いた作品で、2022年には映画にもなりました。

いまの気分で選ぶ、4つの入り口

  • 魂を激しく揺さぶる、濃密な愛と絆のドラマを読みたい → 『流浪の月』『夏物語』『店長がバカすぎて』
  • 息をもつかせぬ展開、驚愕の仕掛けに騙されたい → 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』『むかしむかしあるところに、死体がありました。』
  • 傷ついた心を優しく癒やし、再生の力を信じたい → 『ライオンのおやつ』『線は、僕を描く』
  • 重厚な人間ドラマ、壮大な歴史や謎に浸りたい → 『ノースライト』『熱源』『ムゲンのi』

最後に

大賞の『流浪の月』はAudible版もあり、ナレーター違いで2種類から選べます(2026年9月時点)。声が合わなかったら、もう一方を試してみてください。

ほかの年の受賞作やノミネート作は、本屋大賞ガイドにまとめています。

本屋大賞ガイド|全受賞・ノミネート作品一覧
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ほかの年の本屋大賞

2004年からの大賞受賞作は本屋大賞の歴代受賞作まとめに一覧にしています。このブログで1年ずつ紹介している年は次のとおりです。

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